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【SV S5】災禍カミカイリューフゴー【最終11位-2177、最終36位-2126】

 

使用TN:On your mark、2nd Sparkle

成績:最終2177-11位、最終2126-36位

S5お疲れ様でした。最終日には瞬間で2ROM1桁を達成した後、最終1位チャレンジまで到達したものの、惜しくも敗れてしまった上に最終順位も1桁を逃してしまうという悔いの残る結果となってしまいました。悔しくはありますが、構築には歴代で組んできた中でも1番の自信があるので紹介しようと思います。

 

【コンセプト】

・高数値のスタンに地雷要素を入れて押し切る。

・対戦の中で柔軟にテラスタルを使う。

・リスクリターンを意識した上での命中不安の運用。

 

【構築経緯】

最初は並びや選出から構築を考えていたが思うようにレートが伸びなかったので、自身の得意とする「スタンに地雷を組み込む」という構築の組み方を選択し、その方法ならまず強い単体を並べてみてそこから強い型を模索するというプロセスが1番近道であると考えた。試行錯誤を重ね、最終的に「カイリュー」「サーフゴー」「ハバタクカミ」「テツノドクガ」「ディンルー」「パオジアン」が自分にとって最も強力な6体であると結論付け、それぞれの型を決めていった。

 

1.優秀な技の数々による対面性能の高さから、現環境で最も信頼できるエースとしてハバタクカミを採用した。Sブーストの甘える+痛み分けが流行しており試してみたところ使用感が良かったため、構築がこの形になる以前から使用し続けていた。また、ミラーでは上からシャドーボールを撃つのが最も勝率を上げられるだろうと思い最速とした。

 

2.ハバタクカミに並んで、非常に強力な要素を多く兼ね備えているカイリューを採用。現環境においてカイリューが安全に竜の舞を積める機会が少ないと感じており、仮に積めてもSブーストのハバタクカミやテツノツツミ、吹き飛ばしディンルーなどに止められやすいことから、エースとして運用するのではなくサイクルや詰めを意識した構成で使用することを決めた。

 

3.呪いミミッキュ、チオンジェンなどの変化技を主体とした展開に対し有利に試合を運べるという唯一無二の特性と、カイリューとの補完に優れるという性能に変えが効かないためサーフゴーを採用。構築全体でテツノカイナ絡みが重かったことから思いつき、ディンルーやカイリューなどのトップメタに対しても有効に働くリフレクター+弱点保険で使用。

 

4.ステルスロックとカタストロフィによる無効化されにくい削りと、圧倒的な耐久性能によって行動回数を確保できるのが強力なディンルーを採用。スタンで組んでいる都合上崩しが弱いので、低速の受けや遂行速度の遅い積みを破壊するために地割れを入れて誤魔化すことにした。

 

5.鋼に圧力を掛けられて、ハバタクカミを筆頭とした環境の特殊アタッカーとの撃ち合い性能に秀でたテツノドクガを採用。拘りたくない場面が多かったので、特殊アタッカーとの撃ち合い性能を飛躍的に高める突撃チョッキを持たせた。

 

6.氷悪格闘の技範囲+先制技、高いASからの怯みの押しつけといった要素により、シンプルな攻撃性能の高さを持ちながら環境トップへの刺さりが良く、選出画面で強い圧力を掛けられるストッパーとしてパオジアンを採用。

 

以上で構築が完成した。

 

【個体紹介】

 

ディンルー@オボンの実

テラスタイプ:鋼

特性:災いの器

実数値:261(244)-145(116)-170(76+)-×-109(68)-66(4)

技構成:ヘビーボンバー カタストロフィ 地割れ ステルスロック

◇ヘビーボンバーで131-103ハバタクカミに128~

◇C187ハバタクカミのムーンフォースで~164

◎H:カタストロフィ、オボンの実意識の4n+1

◎B:残りなるべく高く

 

最凶の厄災。カタストロフィ1回でオボンの実が発動するとミラーでの撃ち合いで少し損だと考えてHPを奇数にしている。高い耐久力から繰り出される無効化されにくい削りであるカタストロフィとステルスロックが、カイリューやハバタクカミを動かす上で重要な役割を果たした。ハバタクカミ、ミミッキュ、パオジアンへの対抗策としてヘビーボンバーを採用し、主に耐久に寄せたハバタクカミを意識してAに振っている。弱点を突かれる氷とフェアリーの半減、毒の無効化、ヘビーボンバーの一致化によって初手のパオジアンに安定して行動しつつ、気合いの襷で無ければそのまま突破出来るといった点からテラスタイプは鋼で使用。地割れは主にドヒドイデ、キョジオーン、ドオー、ウルガモスウインディといった受け駒や打点が低く遂行速度の遅い積みに対して撃つ技として採用。ただし緊急時には普通にそれ以外にも押す。地震を切った弊害としては体力の少ないディンルーに撃つ技が無くて困るくらいであり、イーユイやテツノドクガなどの地震の役割対象が無警戒で突っ込んでくる訳が無いので圧倒的に地割れの方が必要な場面が多かった。耐久性能の高さから試行回数を稼ぎやすく、カタストロフィで削れば裏で倒せるという場面では撃つ必要が無いので、そこを見極められればディンルーの地割れは非常に強力だと考えている。採用後、対受けループではカイリューとサーフゴーを裏に置いておくことで、1体倒して20分待っているだけで全て勝つことができた。偉い要素を書き連ねてはいるが、実際のところ確率以上に当ててくれたのは否めない。

 

カイリュー@食べ残し

テラスタイプ:ノーマル

特性:マルチスケイル

実数値:197(244)-198(204+)-116(4)-×-121(4)-107(52)

技構成:神速 地震 アンコール 羽休め

◎H:羽休めの回復量意識で奇数最大

◎A:11n最大

◎S:無振りFCロトム抜き

 

構築の核。ディンルーにテラスタルを切る場面が割とあるので、地面や炎の一貫を切れて柔軟に立ち回ることができるという点においても強力だった。同様にサーフゴーが不利対面を作った際の引き先としても優秀で、サイクルを回す上で重要な役割を担っていた。サイクル用の構成でありながら、ディンルーやハバタクカミによる削りとA振りがマッチしていると考えてかなり火力に振っている。パオジアン、テツノツツミに抗えて、サーフゴーと並べた際にゴーストの一貫を切れるノーマルテラス+神速により当然テラスタルを切った際の性能も非常に高い。地震は神速の通らない鋼やハバタクカミへの安定した打点として採用。アンコールは非常に多くの場面で相手の行動を縛って有利に試合を運ぶことができる強力な技で、特に相手がラス1になった際には交代による解除も許さず、安定択による詰め筋として重宝した。持ち物は羽休めで粘れる範囲が大きく広がる食べ残しを持たせた。これによりハバタクカミに押し切られにくくなる、アンコール中に攻撃しながら回復できる、神速で縛れている場面で相手を倒しながらマルチスケイルを復活させるなど、厚底ブーツによるステルスロック無効が無いことを考慮しても食べ残しの方が有効に働いたと感じる場面が多かった。

 

サーフゴー@弱点保険

テラスタイプ:水

特性:黄金の体

実数値:193(244)-×-131(124)-154(4)-112(4)-133(132+)

技構成:シャドーボール 気合玉 リフレクター 自己再生

◎H:奇数最大

◎S:準速カイリュー抜き

◎B:粘れる範囲を広げるため残りなるべく高く

 

構築で1番の地雷枠。リフレクターを貼りながら弱点保険を発動させることで、テツノカイナやカイリューなどの物理アタッカーに対する対面性能を高めることができて刺さりが良かった。メインウェポンは環境にゴーストが多いのでシャドーボールを選択。サブウェポンにはディンルーに対してどうしても必要になってくるので気合玉を採用。採用理由であり、弱点保険を安全に発動させることや裏の負担軽減などに使えるリフレクター、持続的な役割遂行を果たすための自己再生により、このポケモンより遅い物理アタッカーとの撃ち合いには無類の強さを誇った。気合玉の命中率は気になるところではあるが、ディンルー対面ではリフレクターによって複数回行動できるので無理なく採用することが出来た。テラスタイプは水と炎を半減できて耐性が優秀な水で使用。地雷枠でありながら、黄金の体と優秀な耐性を活かして通常のサイクル要員、対カバルドン・チオンジェン・ミミッキュを担う枠としても重宝した。

 

ハバタクカミ@ブーストエナジー

テラスタイプ:ノーマル

特性:古代活性

実数値:131(4)-×-93(140)-169(108)-156(4)-205(252+)

技構成:ムーンフォース シャドーボール 甘える 痛み分け

◇A156ミミッキュの命の珠じゃれつくで~133

◎S:最速

◎C:残りなるべく高く

 

構築のエース。高速かつ広い等倍範囲による火力の押しつけと、甘える+痛み分けによる対物理性能が強力。耐久型としては珍しい最速だが、ミラーが多発すること、Sを削ったブーストテツノツツミや最速のS+2カイリューの上から動けること、交代やS操作でブーストが無くなってもパオジアンや相手のハバタクカミに役割を残せることから、Sブーストのハバタクカミは最速以外ありえないと思っている。技構成はメインウェポンであるムーンフォースとミラーや皮のないミミッキュなどに撃つシャドーボールで攻撃範囲は足りているので、残りは物理への役割遂行を果たすための甘える、削れた体力を管理しつつ相手には削りを入れて立ち回りを制限する痛み分けとした。テラスタイプはミミッキュの影打ち、ハバタクカミのシャドーボール、コノヨザルの憤怒の拳などを無効化した際のアドバンテージが大きいノーマルで使用した。 

 

テツノドクガ@突撃チョッキ

テラスタイプ:草

特性:クォークチャージ

実数値:187(252)-×-85(36)-193(124+)-140(76)-133(20)

技構成:炎の舞 ヘドロウェーブ エナジーボール サイコキネシス

◇C187イーユイの悪の波動で~64

◇A200テクニシャン拘り鉢巻ハッサムの鋼テラスバレットパンチで~95

◎準速カイリュー抜き

◎C:残りなるべく高く

 

炎枠。イーユイと比較した際、ハバタクカミに安定するのは間違いなくテツノドクガであり、耐性的にも悪3体は厳しいと判断しテツノドクガを選択した。補完なので選出機会は少なかったものの、環境トップの特殊アタッカーに軒並み有利なのでハッサム+特殊アタッカーのような選出が見えた際には積極的に通しにいった。技構成は安定打点でCを上げられた時のアドバンテージが大きい炎の舞、フェアリーテラスを切ってくる相手が多かったのでヘドロウェーブ、ヘイラッシャやディンルー、ウォッシュロトムなどに撃つエナジーボール、ミラーでの打点としてサイコキネシスを選択。テラスタイプは水と地面に対する切り返しになり、エナジーボールを一致で撃てる草で使用。

 

パオジアン@気合いの襷

テラスタイプ:ゴースト

特性:災いの剣

実数値:155-172(252)-100-×-81(4)-205(252+)

技構成:氷柱落とし 聖なる剣 不意打ち 剣の舞

◎S:最速

 

氷枠。テツノツツミだと全体的に特殊に偏ってしまうこと、先制技が使えることを考慮してパオジアンを選択した。ステルスロックを撒かせない展開になった際には無類の制圧力を誇り、ストッパー兼スイーパーとして活躍した。技構成はメインウェポンかつ怯みの押しつけで強引に有利展開を取れることのある氷柱落とし 、主にミラーで撃つ聖なる剣、強力な先制技である不意打ちを確定とし、最後の枠は氷の礫や噛み砕く、テラバースト辺りと迷ったが、最終的にはテラスタルした際に大きなアドバンテージを取れる可能性がある剣の舞に落ち着いた。テラスタイプは神速や格闘技を撃たれやすいのでゴーストで使用した。ディンルーの地割れと違ってパオジアンの絶対零度は偉い要素が思いつかないので否定派。

 

【構築の要点】

・高数値のスタン+相手視点見えにくい勝ち筋の押しつけ

よく見るポケモンで構築を固めて選出画面で圧力を掛けつつ、対戦開始後はテンプレから少し外した構成によってメタから抜け出すことで、同系統の構築に対しては「意識の外から崩すことで、こちらだけが見えている安定択で勝てる」、相手の構築が同系統ではない場合は、「基本的に相手の数値がこちらよりも低い、あるいは持ちうる選択肢が少ないということなので、スペックの高さを押しつけているだけで勝率を確保できる」という観点から、サイクル寄りの構築でありながら立ち回りが難しい場面が少なく、どんな相手にも安定して勝つことができた。

 

・ローリスクハイリターンでの命中不安の運用 

地割れ、気合玉、氷柱落としは外しのリスクがあるものの、当てた際のアドバンテージが大きいのでこれらの技を運用することにしっかりとした理由付けが必要だと考えた。地割れは「遂行速度の遅い相手に対し、複数回の試行回数がありながら3割での試合終了を押しつける」、気合玉は「リフレクターを貼る+基本ディンルーやチオンジェンにしか押さないことで外してもあまり問題ない」、氷柱落としは「構築段階でパオジアンを投げる機会、氷柱落としを撃つ機会を減らすように組む」といったことを意識して、外しによって負けてしまう場面をなるべく減らした上で、上振れによる恩恵を最大限に享受できた。これらの要素と軸のハバタクカミ+カイリューが安定した動きをしやすいことから、運負けを減らしつつ運勝ちを増やすことができて、構築の方向性がランクマッチに向いていたように思える。

 

【終わりに】

まずは筆が乗ってしまい長くなってしまいましたが、ここまで読んでくれてありがとうございます。保存してたら1桁だったということには正直に言えば勿体なさを感じない訳ではありませんが、7世代からずっと最終1位以外目指さないというスタンスで取り組んでいるのでその選択に悔いはありません。これからも引き続き最終1位を目指して頑張ります。